「マーケが取ったリードを営業が使ってくれない」
「営業の失注理由がマーケに届かないから、同じ広告を出し続けてしまっている」
「解約しそうなお客様の情報が、担当営業に伝わっていない」
こういった話を聞くたびに思うのは、これはツールの問題でも、人の問題でもないということです。構造の問題です。
分業が進んで、むしろバラバラになった
ここ10年で、企業の組織は大きく変わりました。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス——細かく役割が分かれ、それぞれが専門性を持つようになりました。
これ自体は悪いことではありません。でも、分業が進んだことで起きた副作用があります。それが「情報の分断」です。
各部門が自分たちの目標を追うようになり、部門間での情報共有が「コスト」として扱われるようになりました。マーケはリード数を、営業は受注数を、CSは継続率を——それぞれ別のKPIで動いているため、同じ顧客のことを話していても、見ているデータも、持っている文脈も違う。
結果として、組織全体では誰も「顧客の全体像」を把握できていない状態が生まれます。
「引き継ぎ」で落ちる情報の量
顧客がリードとして入ってきてから、受注、サポートに至るまでの旅を想像してみてください。
マーケティングが接触した時点では、顧客の関心領域や課題感が記録されているかもしれません。でも、それが営業に引き継がれる際に、どれだけの情報が本当に伝わっているでしょうか。
SalesforceやHubSpotのような記録があれば多少はマシですが、それでも「なぜこのリードが今問い合わせてきたのか」という文脈は、多くの場合口頭かチャットのやりとりにしか残っていません。
商談が始まれば、営業はまた一から顧客のことを聞き直します。受注してCSに引き継ぐ際も同様です。顧客からすると、同じ会社の人間に何度も同じことを説明しているように感じます。
これが、顧客体験を損なう最大の構造的要因のひとつです。
「フライホイール」という考え方
対照的なのが、部門間がひとつの収益エンジンとして連動する状態です。
マーケティングが獲得したリードの行動データが、営業に渡る前に自動で整理されている。商談で出た失注理由がマーケティングの施策改善に即座に活かされる。CSが察知した解約の予兆が、担当営業にアラートとして届く。
こうした情報の循環が機能しているとき、それぞれの活動が次の活動の燃料になります。これをフライホイールと呼びます。一度回り始めると、自己強化していく構造です。
でも、多くの企業がまだファネル型——見込み客を上から落として、受注したら終わり——という考え方で動いています。受注後にどんな顧客体験が生まれ、それがどう次の集客につながるかが、設計されていません。
情報を「資産」にするための第一歩
フライホイールを回すために最初にすべきことは、「どの情報を、どこに、どういう形で残すか」を設計することです。
特に重要なのが、商談の記録と失注理由の構造化です。
「なんとなく予算が合わなかった」「タイミングが悪かった」という曖昧な記録では、次に活かすことができません。どんな競合と比較されたか、どの機能を最も重視していたか、決裁者は誰だったか——こうした情報が構造化されていれば、AIを使った分析も可能になりますし、マーケティングのメッセージをより的確に調整できます。
「同じお客様を、みんなで見る」ために
部門間のデータ分断を解消することは、顧客体験の向上だけでなく、売上の最大化にも直結します。
どこから手をつければいいかわからない場合でも、まず現状の情報フローを可視化することから始められます。マーケ・営業・CSの間で、今どんな情報がどこで止まっているかを整理するだけでも、大きな気づきが生まれます。
こうした現状診断から、実際の設計・定着支援まで、SSCは一気通貫でお手伝いしています。まずはお気軽にご相談ください。